私は平日休みの事が多いので、ワイドショーは朝8時のテレビ朝日・モーニングショーを観ることが多い。
2024年4月、新入社員の松岡朱里アナが、羽鳥慎一キャスターのアシスタントに抜擢された。
とても大きな声でハキハキと話し、コメントも前向きで、アナウンス技術も高い。
こんな新入社員がいたら会社も安泰だな、と思わせるくらいの逸材だと私は感じた。
しかし、実際に社会を見渡してみても、そんな優秀な新入社員はほとんどいないと言っていいだろう。
にもかかわらず、我々は新入社員に優秀さを求めてしまう節があるのだが、それは一種の幻想である。
そして、その幻想と現実とのギャップに嘆き、勝手に呆れ、怒るのである。
(下に続く)
正直言って、新入社員にとってみれば迷惑な話だ。
既存の社員は、まずは新入社員に対するハードルを大きく下げる必要がある。
もし新入社員が仕事を上手くできなかったり、普段の勤務態度に問題があったりしても、絶対に責めるべきでない。
なぜなら、仕事の上達は時間しか解決できないし、仕事の向き不向きはある程度責任のある仕事を与えて本人に分かってもらうしかないし、普段の仕草や言動はその人が育ってきた環境によって形成されるものだから、既存の社員が偉そうに新入社員を裁く権利はないのである。
人は皆、全力を尽くして今の状態なのだから、絶対に人を変えようとしてはならないし、そもそも変えることなど不可能である。
やればできるとは言うが、人は皆やっている。
それ以上やると壊れるところまで無理して頑張って生きている。
だから、それ以上を他人が求めることは非常に酷な話なのである。
最後に、私の頭から離れない胸が痛くなる話を一つ。
私はある人に「新入社員のやる気が無い」という愚痴をこぼした。
するとその人がこう話した。
「私が新入社員の時は、いつもメモを取ったり同期に相談したりして一生懸命やっていた。それなのに周りからは『やる気が無い』と言われ、泣いていた。」
私は猛省しながらこの文章を書いている。
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