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「本当に知恵のある者は知ったかぶりをしない」ソクラテス

ソクラテスは紀元前470年にギリシャのアテネで生まれた。

ソクラテス自身は著作を残していないため、彼の考え方は弟子のプラトンが残した記録から読み取っているのが現状である。

ソクラテスといえば「無知の知」という言葉が有名だが、これはどういう意味なのだろうか。

これから詳しく説明していこうと思う。

紀元前5世紀頃、ギリシャ中部の聖域デルフォイにはアポロン神殿があった。

この神殿には予言の神・アポロン神が祀られており、巫女によって神託が下されていた。

ある日、ソクラテスの友人が「ソクラテスよりも知恵のある者はいますか」と尋ねた。

すると「ソクラテスよりも知恵のある者はいない」という答えが返ってきた。

これを『デルフォイの神託』という。

それを聞いたソクラテスは疑問に思ったのである。

私にはそこまでの知恵はない、と。

(下に続く)




しかし、知恵がないという私の自覚が正しいとすると、デルフォイの神託は誤りとなりアポロン神が嘘をついていることになる。

うーむ、とはいえ神が嘘をつくことなど考えられない。

だが、やはり私は他の人物より賢いとは言えない。

そこでソクラテスは、知恵があると思われている人たちを訪ねて問答を重ねることによって、自分よりも知恵のある人を見つけてデルフォイの神託に反駁しようとした。

ソクラテスはギリシャの賢者たちに善美について聞いて回った。

しかし、どの賢者も善美のことを分かっているようで分かっていない。

善美のことを知らないのに知っているふりをしている。

つまり、知恵があると思われる者は知ったかぶりをしている。

だから、自他共に認める賢者も、実はそこまで知恵がないのではないだろうか。

それとは対照的に、ソクラテスは知らないことは知らないと考えることができる。

自身の無知を認めることができる。

これを『無知の知』という。

そして、自身の無知を認めることができる分だけ、ソクラテスの方がちょっとだけ知恵があると言えるのではないか。

この論理をもってすれば、なるほどデルフォイの神託もアポロン神も正しいということになるのである。

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