世の中で成功するためには頭が良かったり、運動神経が良かったり、効率が良く賢かったりといった条件が必要だと昔の私は思っていた。
しかし、どうやら単に才能があるだけの人よりも、しつこいくらいに粘り強く努力を続けた人の方が成功することが多いと今は考えている。
まず、我々の身近な場所で考えると、会社組織がそれに当てはまる。
会社で出世して上層部にいる人が、必ずしも同期の中で1番優秀だった人とは限らない。
その人が上層部に辿り着くまでに、周囲の社員はかなり退職しているはずである。
将来は社長かと言われたような人がいつの間にかいなくなり、新人時代は周囲に心配されていた人が係長や課長になっているというのは、よくある話だ。
1つの会社で出世することを素直に成功と捉えるならば、1つの道を究める前に逃げ出した人よりも、同じ道をずっと歩き続けた人の方が立場が上になっているのである。
もちろん、これは1つの会社の中だけを見た場合に通用する話だが、必ずしも1番優秀な人が1番上に行くわけではないということを、私は示唆したい。
次に有名なスポーツ選手の例を見ていきたい。
まずはイチローだ。
イチローがプロ野球のドラフト会議でオリックス・ブルーウェーブに指名された時の順位は4位だった。
日本のプロ野球は12球団なので、その年にプロ野球に入る選手の中で、おおよそ37位から48位くらいのランク付けだったということである。
そして、プロ野球1年目は打率.253、2年目の打率は.188であった(この数字はあまりよろしくない...)。
つまり、プロ野球に入った時点では、まだ野球界で1番の選手とは言えない立場にあったのである。
しかし、3年目で打率.385というとんでもない数字を残し、その後の活躍は日本中の皆が知っている通りである。
ちなみにイチローは3歳の時から野球の練習を始め、小学校時代には365日中360日野球の練習をしていたのは有名な話である。
したがって、イチローは単に才能があった人ではなく、しつこいくらいに粘り強く努力を続けた人と言うべきではないだろうか。
そこへ行くと、サッカーの本田圭佑も同じ枠に入ると私は考えている。
NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で「プロフェッショナルとは何か?」と聞かれた時に「ケイスケ・ホンダ」と答えた、あのサッカー選手である。
本田圭佑は中学時代にガンバ大阪ジュニアユースに所属していたが、1つ上の組織であるガンバ大阪ユースには入れなかった。
だがそこはケイスケホンダ、石川県の星稜高校にサッカー留学をし、そこでキャプテンとして活躍して名古屋グランパスに入団。
その後はサッカー日本代表としてワールドカップで大活躍した。
世界で活躍することになる男も、高校生になる前に挫折を味わっていたのである。
普通の人であれば、その時点でサッカーを辞める選択をしていても不思議ではない。
さて、結びになるが、ペンシルベニア大学の教授アンジェラ・ダックワースが書いた世界的ベストセラー「やり抜く力(GRIT)」の中にある通り、成功するために大切なのは、才能ではなく情熱と粘り強さであり、絶対にあきらめないという態度なのである。
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