完璧主義とは、なんでも「100点満点」でなければ気が済まないという、いわば自己との戦いです。
しかし、完璧を追い求めすぎると、人生はどこか滑稽で、そして少し悲しい喜劇へと変わります。
今回は、その「完璧主義の弊害」を、ちょっと面白おかしく掘り下げてみましょう。
### 1. 朝から完璧を目指す
完璧主義者にとって、朝はまさに「人生のスタートダッシュ」のようなものです。
彼らの理想の朝は、まず5時に目覚め、きっちり7時間半の睡眠を確保。
瞑想とヨガで心身を整え、ヘルシーなスムージーを飲みながら日経新聞を読む。
そして、すべての準備が完璧に整った状態で、8時に家を出るのが理想です。
しかし、現実はと言うと、目覚ましが鳴ると同時に「あと5分だけ」とつぶやき、結局6時半に飛び起きる。
そして、慌てて顔を洗っているうちに「あれ?ヨガをする時間がない」と気づき、次に「スムージー?そんな余裕ない!」と、コンビニのパンをかじりながら出勤します。
完璧を目指していた朝が、現実ではすでに戦場と化しているのです。
完璧主義者の朝は、いつも「完璧」と「現実」の間で揺れ動くものの、結果的に二度寝とバタバタした支度に負けてしまいます。
これが「朝から完璧を目指す」という完璧主義の滑稽な一幕です。
### 2. 細部にこだわりすぎる
完璧主義者の職場での振る舞いも、見ていてなかなか面白いものです。
たとえば、プレゼン資料を作る際、彼らはまずフォントの選定に30分かけます。
「このフォントは堅苦しいかな?いや、もっとカジュアルに…いやいや、真剣さを伝えるためにはフォントは重要だ」と、迷いに迷います。
そして、次に色彩のバランスに1時間。
グラフの線の太さが気に入らないと言って、さらに1時間。
結果、資料が完成するのは締め切りギリギリ。
いや、実際には締め切りを少しオーバーしてしまいます。
それでも、プレゼン当日に「これこそ完璧だ!」と自信満々に臨むのですが、上司からの第一声は「要点がわからないんだけど?」。
そう、完璧主義者は細部にこだわりすぎて、肝心なポイントを見失いがちなのです。
この「完璧すぎて意味が伝わらない」という現象は、まさに完璧主義の典型的な弊害です。
誰も気にしないフォントの選定や色彩バランスに何時間もかけてしまい、結局、肝心の中身が疎かになるという、なんとも滑稽な結果を招きます。
### 3. やることが多すぎて進まない
完璧主義者のもう一つの特徴は、どんなタスクでも「完璧」を目指して、時間を無限にかけてしまうことです。
例えば、単なるレポート作成を頼まれたとしましょう。
「簡単でいいから、さくっとまとめてね」と言われたとしても、完璧主義者にとって「簡単」は禁句です。
まず、彼らは「簡単」と言われたことに違和感を覚えます。
「いやいや、簡単に見えても、ちゃんとデータを裏付ける必要があるはずだ」と考え、膨大なリサーチを始めます。
その後、データの精査に2日、レポートの構成に1日、そして何度も推敲を重ねているうちに、締め切りの日が過ぎてしまうのです。
最終的に完成するのは、上司が催促した数日後。
上司は「そこまで詳しくなくても良かったんだけど…」と困惑顔。
完璧を目指すあまりに、進行が遅くなるというのは、まさに完璧主義の罠です。
彼らは「やるべきこと」をどんどん増やしてしまい、結果として何も終わらない、いや、終わることができないという悲劇を自ら引き起こしているのです。
### 4. 趣味が「苦行」に変わる
完璧主義者にとって、趣味ですら「完璧」でなければ気が済みません。
例えば、新しい楽器を始めるとき、普通の人は「とりあえず楽しくやってみよう」と思うものです。
しかし、完璧主義者は「まず理論を完璧に理解してからじゃないと!」と考え、楽譜の読み方、指の使い方、練習方法などをリサーチし尽くします。
その結果、実際に楽器を手に取る前に、膨大な情報に圧倒され、「まだ準備が足りない」と感じてしまう。
そして結局、楽器には一度も触れずに終わってしまうのです。
趣味は本来、楽しむためのものですが、完璧主義者にとっては「完璧にこなさなければならない挑戦」になってしまいます。
彼らにとっては、「楽しむ」よりも「できていない自分を許せない」という感情が先行し、結果として趣味が「苦行」と化してしまうのです。
### 5. 他人にも完璧を求める
完璧主義者の周囲の人々は、しばしば「巻き込まれ事故」に遭います。
なぜなら、彼らは自分だけでなく、他人にも完璧を求めてしまうからです。
例えば、チームで仕事を進める際、完璧主義者は「もうちょっとここ、改善できるんじゃない?」と、無限にフィードバックを繰り返します。
同僚たちは最初は「うん、わかった」と応じますが、次第に「またかよ…」と内心うんざりし始めます。
最終的には「もういい加減にして!」と反発され、完璧主義者は「なんでみんな、ちゃんとやらないんだろう?」と独り悩むことになります。
他人に完璧を求めすぎると、周囲の人々から煙たがられるだけでなく、結果として自分も孤立してしまうというのが、完璧主義の辛いところです。
自分が完璧でなければならないというプレッシャーを他人にまで押し付けてしまうと、人間関係がギクシャクしてしまうのです。
### 6. 「完璧」が邪魔して結局何もできない
完璧主義者が陥りがちな最大の問題は、「完璧を目指しすぎて、結局何もできない」という状況です。
彼らは「準備不足で失敗したくない」という恐れから、あれこれと考えすぎてしまいます。
その結果、最終的には行動を起こす前に自分のエネルギーを使い果たしてしまうのです。
例えば、新しいプロジェクトに挑戦しようとするとき、完璧主義者はまず「すべてを知ってから始めよう」と考えます。
しかし、何を調べても「まだ足りない」と感じ、結局いつまで経ってもスタートを切ることができません。
結果として「結局何もしなかった」という後悔だけが残るのです。
この「完璧主義のパラドックス」は、非常に滑稽でありながらも、実は深刻な問題です。
完璧を追い求めすぎると、かえって行動力が失われ、結果として何も成し遂げられないという皮肉な結果を生んでしまいます。
### 結論:完璧なんて存在しない
結局、完璧主義者の最大の敵は「完璧」という幻想です。
完璧というものは、理論上存在するかもしれませんが、現実の世界ではどこかで妥協しなければなりません。
完璧を目指すあまり、逆に何もできなくなったり、自分を追い詰めたりするというのは、完璧主義の皮肉な一面です。
現実の世界では、完璧よりも「十分に良い」状態で満足することが大切です。
完璧主義者も、少しの「不完全さ」を受け入れることができれば、もっと自由に、もっと楽に生きられるようになるかもしれません。
結局のところ、人生は完璧ではなく、その不完全さの中にこそ美しさや楽しさがあるのです。
ですので、もし自分が完璧主義の罠にハマりがちなタイプだと感じるなら、たまには「まあ、これでいいか」と肩の力を抜いてみるのも良いでしょう。
完璧を目指すことも大事ですが、時には失敗や不完全な部分が、逆に新しい発見や楽しさをもたらしてくれるものです。
だからこそ、完璧主義の弊害に笑いながらも、それを少し緩めてみることが、実はより豊かな人生への一歩なのかもしれません。
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